35歳ぐらいの時、珍しく病院へ行った。70歳くらいの男が窓口で「先生さまー、お薬を頂戴してありがとうございます」と言って、深々と頭を下げている。顔を見ると半年くらい前に私の店へ2度来たことのある人である。私の店へ来たときは威張った態度で「俺の頭は刈りにくいぞ、練習にやらせてやるからやってみよ」と、言っていた人である。
同じ人が相手によりこうも態度が違うのを見たのは、生まれて初めてである。私は威張ることも威張られることも大嫌いだ。この人はどういう人かと思った。
何時だったか年月は忘れたが、インド人が近くの会社に研修生として来日した。調髪に来た。片言の日本語でヘアースタイルを注文した。私は言われるままに調髪したが一部気に入らない部分があったようだ。物凄い剣幕で文句を言ってきた。私は御客が文句を言ったからといって別に気にはならない。文句があったら言えばいいのだ。私にミスがあれば謝る。私が言いたいのは「言い方」である。同じ事を言っても気分の良い言い方はあるはずである。昔から物は言いよで角が立つというではないか。
このインド人の態度は尋常ではなかった。犬や猫にさえこんな言い方はしない。どう考えても私をまるで人間以下として扱っているのだ。おかしいと思い調べてみると、インドのヒンズー教ではカースト制という身分制度があり先祖代々同じ職業それに伴う身分が決まっているそうだ。一番偉いのが僧侶、次が・・・と、色々と細かく身分に伴う職業が決まっているそうだ。そして理容業・理容業従事者は最低も最低で人間並みには扱われていないそうである。このインド人が私に対して言いたくれ言った理由が分かった。私は腹が立ったのでこれからはインド人の調髪は断ることにした。