当時、店の傍にある証券取引所のガード下で、白髪混じりの初老の男が易占いをしていた。この易者は評判が良かった。なんでも株の予想がよく当たるということだった。私は興味をもち、ある日、とぼけた顔で近くに立ち、聞き耳を立てた。
4人の客が来た。所要時間は一人につき平均7分位である。先の二人の客には買いと言っていた。後の二人には売りと言っていた。何のことはない。株は売りと買いしかないのだから、客の半分に買い、半分に売りと言えば、確立5割で当たるのである。客の半分が当たれば、評判が良いはずである。
この易者は夜9時頃にはいなくなる。しばらくして、それと交代するかのように同じ場所にどう見ても40歳前後の売春婦が3~4人立つ。そしてタクシーも傍に駐車する。銭湯へ行く途中、先輩がこの売春婦達をからかった。しかし、本当は、反対にからかわれていたような気がする。
よく顔を見れば、逆にお金を貰っても断りたいほどの「美人達」であった。しかし、酔った客には、夜の暗さと帽子と化粧で彼女達は美人に見えたのであろう。近くの飲み屋街で飲んだ客が、帰宅しようとタクシーに乗ろうとする時に、彼女達は巧みに客を引っ掛けるのである。そして二人でタクシーに乗りラブホテルへ行くのである。そして、まもなく地獄が始まるのである。この女達は美人局なのである。部屋に入りしばらくすると突然怖いお兄さんが現れ「俺の女に手を出したな」と、凄まれ、大金を巻き上げられるのである。彼女達はタクシーで家に帰ろうとする酔客を引っ掛けるためにこの場所に立っていたのだ。