私が18歳の時、父は60歳、母は57歳である。父はもう老齢であるから何時までも理容業を続けることは出来ない。 続きを読む
第19話 週に2度の講習会
夜、閉店後9時から11時まで講習会が週に2度あった。主に技術の講習で、一度だけ接客の講習だった。 続きを読む
第18話 殆どの人が独立出来ない現実
多くの従業員が入店し、退店していった。私の居た3年間に半分以上の人が変わった。見習いは人間関係の失敗で辞める人が殆どだった。10代の男女である。なかなか難しかったと思う。新しい職人は店に初めてくる御客を担当するのである。そしてその職人のファンが増えれば増えるほど給料と店での地位が上がるのであるが、ファンを増やすことの出来ない人が多かった。 続きを読む
第17話 失敗
先生は厳しい人だった。すぐ怒るのである。従業員はいつもビクビクとしていた。皆お客の顔を見ずに先生の顔色を見て仕事をしていた。私もそうである。或る日クセ直しで失敗をした。 続きを読む
第16話 罠
当時、店の傍にある証券取引所のガード下で、白髪混じりの初老の男が易占いをしていた。この易者は評判が良かった。なんでも株の予想がよく当たるということだった。私は興味をもち、ある日、とぼけた顔で近くに立ち、聞き耳を立てた。 続きを読む